「あぶらマシマシにんにくマシマシ」この言葉で僕は何度でも生き返る・・・・
探偵は約束ができない職業です。
決まった休みはなく調査がない時が休みになりますが、明日は調査がなくて休みだ!っと思っていても当日に調査に出てくれと呼ばれる事があるので今まで何回友達との約束をドタキャンしたのかわかりません。
友達と疎遠になり個人用スマートフォンが鳴る事がなくなり、本体を充電する事がなくなり今年はまだ一度も電源を入れていません。
もし探偵調査員をやってみたいと思いこのブログを閲覧している人がいるのならプライベートを優先したい人は探偵調査員を仕事に選ばない方がいいでしょう。
長期の調査を担当した場合は2~4週間休みがない事もあり体力、精神、のリフレッシュがとても大事になります。
調査員それぞれリフレッシュ方法があるのですが僕の場合はニンニクの過剰摂取です。
調査は2人以上で行くのですが前日ニンニクを食べると車内にニンニク臭が蔓延し相方に迷惑がかかるので基本は休み予定の前日に食べるようにしていますが、休みがなくニンニクを食べられない期間が長くなると寝ても疲労が取れず調査に支障が出てきます。
そうなる前に相方に「今日の夜はニンニクを食べさせてもらいます」と断りを入れます。
相方から承諾を得た僕が向かうのは池袋西口から徒歩5分程にある「ラーメン大 池袋店」
200m後方からでもわかる脂の香りに僕の胃袋は動きだし、メロウイエローの看板を確認すると過去の記憶が思い起こされ口の中が唾液で溢れだす、夢のニンニクまであと10分。
店内に入り席に座り注文を終えあと7分、他のお客さんが食べているラーメンの香りを楽しみあと2分、寸胴から僕の注文したラーメンの麺が出て来て盛り付けを開始する店主の仕草を見ていると「トッピングはどうしますか?」と尋ねられる。
何十何百と発している言葉なので無意識に口が動く「あぶらマシマシにんにくマシマシ」と・・・・
店主の低い「おまちぃ~」の声と同時にドスンと置かれる丼ラーメン

香ばしい霧のカーテンを息で払うと美しい脂のカルデラ湖が見えてきた、透き通った脂の湖はまるで摩周湖。
丼の周りには雄々しいチャーシューの剣山がそびえ立ちその勇猛さは阿蘇山の如し。
だけどもこの二つは主役ではないあくまで脇役、本当の主役はこのニンニクの銀河。
何千年も前から人間を魅了するニンニクは人間の生きる道を示してくれる北極星。
まずはそのままニンニクをぱくり、刻みニンニク特有の歯ごたえのライブ感、噛めば噛むほど体がほてってくる。
次は脂とニンニクでぱくり、脂の甘さの後に来るニンニクのパンチ力、疲れが吹っ飛ぶ。
今度はチャーシューとニンニクでぱくり、この組み合わせを考えた人に感謝、僕は今この世界で一番幸せな人間なのだと確信する。
その後は呼吸をするのも忘れてラーメンを食べるのだが、気付いたら空のどんぶりが目の前にある。
僕は困惑する、本当に僕はラーメンを食べたのか?隣のお客さんに盗まれたのではないかとあれこれ考えるが僕の体から発するニンニク臭と膨れた腹を見て現実に戻される。
夢の時間はもう終わり、明日からまた仕事を頑張ろうと山手線に乗り込み帰路に着く。
もし深夜の山手線でニンニク臭を撒き散らして寝ている人がいたらそれは僕かもしれません・・・
投稿者:teikoku_diary