探偵学校1

2019/04/15

期待と不安を胸に、22歳の私は生まれて初めて探偵社に足を踏み入れました。そこで待っていたのは、紳士的な雰囲気の中年男性。

年齢は45歳位、中肉中背、黒髪七三分けにスーツ・革靴。柔らかい物腰で、少し話すと、イントネーションから「関西出身の方ではないな」と気づきました。その方が講師とのことで、簡単に挨拶と自己紹介をしたのですが、なぜか自分の名前を名乗られません。「名前わからないな…先生と呼んだらいいかな」と思いつつ、冒頭から気になっていた、もうひとつの疑問が膨らみます。

「私以外、他の生徒が全くいない…!!」

当時メディアで目にした探偵学校というものは、若い男性や社会人の方が10名程いて、その中に女性が1~2名混じっているようなイメージでしたので、0人というのはさすがに不安です。

それを先生に問いかけたところ「あぁ、他の生徒さんは別の日に来られています」と、サラッと返答。

受講していたコースは、毎週土曜・日曜の10:00~17:00でしたので、普通に考えれば休日こそ人が集まるはず。

今の私なら「いやいやいやいや、平日ならまだわかるけど、土日0はあり得ないでしょ。何だか怪しいなぁ、怪し過ぎるよなぁ」と疑いたくなるところですが、当時の私は単なる可愛い子でしたので、「あぁそうなんですね」と素直に納得していました。

そして、用意されたテキストを広げ、ホワイトボードの前で座学が始まります。

講義内容は、探偵としての心得から始まり、張り込み・尾行・聞き込みの方法や、不測の事態に陥った際の対応など。

中の人がワープロで作成・印刷したような、お手製の教本でしたが、なかなかしっかりした中身だったと記憶しています。

面白かったのは「発覚している対象者を徒歩で尾行する際、3人以上の調査員でフォーメーションを組んで行いますが、基本的に尾行は無理だと思って下さい」とハッキリ書いてあったこと。

無理とか言っちゃっていいの?って感じでした笑。

実際には、対象者に調査が発覚していても、不可能ということはなく、何なりと方法はあるものです。

ただ、無理と言いたくなるくらい、調査において発覚というものが大きな痛手になることも、また事実です。

もちろん、お客様感覚で探偵学校に通っていた当時の私に、調査の真実がわかるはずもなく、書いてあることに、ただただ「そういうものなんだ」と納得するばかりなのでした…

今回はここまで。





花はチューリップ、下部に目を向けるとグラスのような造形です。
すごいですね。

ではまた!


投稿者:teikokuh